「祖母から受け継いだ着物がある」
「実家のタンスから古い着物が出てきた」
このような悩みはありませんか?
古い着物が手元にあっても、売れるのか疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
お手持ちの着物がモダンなデザインであれば、もしかしたらアンティーク着物かもしれません。
この記事では、アンティーク着物の特徴や買取相場についてご紹介します。
アンティーク着物とは?
アンティーク着物とは、主に明治~昭和初期に作られた着物のことです。
アンティーク着物の特徴は以下になります。
- 主に先染めの綿織物
- 個性的でおしゃれな柄
- 柄のバリエーションが豊富
- 全体的にサイズが小さい
- 共衿が短い
- 袖付けの付けどまりの位置が高い
アンティーク着物というとただ古い着物をイメージしがちですが、それだけではアンティーク着物とはいえません。
アンティーク着物の一番の特徴は、当時「モダン」といわれたデザインや柄を取り入れている点です。
西洋の文化の影響を受けて、西洋の草花や幾何学模様が描かれているものが目立ちます。
現在にはないレトロな柄が人気のアンティーク着物。
現在では、おしゃれ着として幅広い世代からの注目を集めています。
【時代別】アンティーク着物の特徴
先ほども解説したように、アンティーク着物は主に明治~昭和初期に作られた着物です。
それぞれの時代ごとに、アンティーク着物の特徴を見ていきましょう。
明治のアンティーク着物の特徴
明治時代は、絹の生産が一気に盛んになった時代です。
とはいえ、明治初期の着物の素材は木綿が主流でした。
デザインは袖や裾に小さな柄が描かれているだけで、全体的に素朴でシンプルです。
明治後期になると絹の生産量が高まり、絹は以前ほど高価なものではなくなります。
絹を平織りにした可愛らしい「縮緬」が使われるようになり、デザインも華やかになっていきました。
大正のアンティーク着物の特徴
大正時代は、洋服への関心が一気に高まった時代。
ただ、女性用の洋服の導入は遅かったようです。
この時代になると、西洋の文化を取り入れた華やかな着物が登場し始めます。
大正後期になると、日本の文化と西洋文化を融合させた「大正ロマン」が大流行します。
西洋の草花や、幾何学模様が描かれている着物が人気を集めました。
特に人気を集めたのは、アール・デコを意識したデザインの「銘仙(めいせん)」です。
アール・デコ(仏: Art Déco)とは、一般にアール・ヌーヴォーの時代に続き、ヨーロッパおよびアメリカ合衆国(ニューヨーク)を中心に1910年代半ばから1930年代にかけて流行、発展した装飾の一傾向。
アール・デコ – Wikipedia
昭和のアンティーク着物の特徴
昭和の戦前までに仕立てられた着物をアンティーク着物と呼ぶため、戦後に仕立てられた着物は対象外です。
第二次世界大戦が始まるまでは、西洋文化を強く取り入れたモダンスタイルが大流行していました。
モダンスタイルを取り入れた、ポップで華やかなデザインのアンティーク着物を象徴する存在です。
なお、戦時中は「もんぺ」と呼ばれる袴型の作業着が普段着となります。
戦後は庶民にも洋服の着用が広がり、着物は特別な日に着用する「晴れ着」という認識が高まっていきました。
アンティーク着物とリサイクル着物の違いは?
自宅のタンスから年代ものの着物が出てきたけれど、アンティーク着物かリサイクル着物か判別できないケースもあるでしょう。
アンティーク着物か否かの区別は戦前・戦後で区切られます。
明治~昭和の戦前に仕立てられた着物を「アンティーク着物」と呼び、戦後に仕立てられた着物を「リサイクル着物」と呼びます。
見分けるポイントについては、先ほど紹介したアンティーク着物の特徴を参考にしてください。
特徴に当てはまらない場合は、リサイクル着物の可能性が高いです。
サイズ感や袖丈が現代の着物と同じ、もしくは裏地が白かグラデーションのものは、ほぼリサイクル着物と思って良いでしょう。
アンティーク着物の買取価格
一般的なアンティーク着物の買取相場は、数千円~7万円程度です。
アンティーク着物の買取価格は、仕立てられた時代・素材・デザインなどによって大きく変動します。
後で詳しく解説していきますが、希少性の高いアンティーク着物なら高価買取が期待できます!
一方で、以下のようなアンティーク着物は買取価格が低くなります。
- 木綿素材の着物
- 短めの丈の着物
- 保存状態が悪い着物
木綿素材の着物は気軽に着られる一方、買取価格は数百円前後となります。
昔の日本人女性に合わせた短めの丈の着物も、現在ではニーズが少ないため価値が付きにくいです。
高く売れるアンティーク着物の特徴
お手持ちのアンティーク着物がいくらくらいで売れるか気になりませんか?
続いては、高く売れるアンティーク着物の特徴を紹介します。
1920年前後に作られた着物
アンティーク着物の中でも、1920年前後に作られた着物はニーズが高く高値が付きやすいです。
1920年前後といえば大正ロマン全盛期。
おしゃれな柄の着物が大量に作られた時代なので、この時代の着物は現で在も人気があります。
正絹の着物
着物の中でも、高級感のある正絹の着物は高値が付きやすいです。
明治後期になると絹の生産量が上がり、正絹の着物が多く作られました。
特に昭和初期までのアンティーク着物は、おしゃれなデザインの着物が多く人気があります。
銘仙
銘仙のアンティーク着物は高値で取引されています。
銘仙は平織した絣の絹織物で、大正時代から昭和にかけて多く生産されました。
太めの絹糸を緯糸に使って密に織ったもので、絹の着物としては安価だったことから普段着として愛用されていました。
特に人気のある銘仙は以下の通りです。
- 伊勢崎銘仙
- 秩父銘仙
- 八王子銘仙
- 桐生銘仙
- 足利銘仙
これらの銘仙をお持ちの方は、高値が期待できますよ!
仕立てのサイズが大きい着物
アンティーク着物は、当時の日本人女性に合わせて小さめに仕立てられています。
仕立てのサイズが小さいのはアンティーク着物の特徴の1つですが、現在の女性には合いにくいのがデメリットです。
明治時代初期の日本人女性の平均身長が147cmだったのに対し、現在の日本人女性の平均身長は158cm。
大きな着物であれば仕立て直しができますが、小さな着物ではどうにもできないためニーズが低いです。
160cm以上のアンティーク着物があれば、高価買取が期待できます!
有名産地・有名作家の着物
着物全般に言えることですが、有名産地や有名作家の着物は高値で売れる可能性が高いです。
有名産地や有名作家の着物であれば、着物の価値を証明する「証紙」や「烙印」が付いていることが多いため、査定に出す前にチェックしてみましょう。
保存状態が良い着物
保存状態は査定額に大きく響きます。
同じ産地や作家のある着物でも、汚れやシミが目立たないものはさらに高値が付くこともあります。
アンティーク着物は年代が古いため、完璧な状態なものを期待するのは難しいです。
それでも保存状態が少しでも良ければ、その分だけ査定額にも期待できます。
まとめ
この記事では、アンティーク着物の特徴や買取価格をご紹介しました。
アンティーク着物の買取相場は、数千円~7万円程度です。
木綿素材の着物は価値が低く、数百円程度の買取になることも少なくありません。
汚れやシミなど、保存状態が悪いアンティーク着物は買取不可となることもあるため、注意してください。
華やかでレトロなデザインのアンティーク着物は、幅広い世代から人気を集めています。
自分自身で着こなすのも良いですし、不要な場合はアンティーク着物を取り扱うお店へ相談してみてはいかがでしょうか。